GOTHIC METAL(ゴシックメタル)の館

 「ロック好きの行き着く先は…」にて連載されたゴシックメタルを纏めて…

■ Pythia - Serpent's Curse (2012) Beneath the Veiled Embrace - Pythia

Serpent's Curse ここのトコ、また嬢メタル系のバンドの新作がいくつかリリースされているみたいで、まぁ、どれも似たようなものだしそんなに追いかける必要もないだろうと思いつつもついつい新しい作品っつうと気になって聴いてしまうのだった。古いロックバンドの音はもう多分聴きすぎていて新しい刺激ってのには会えなくてさ、些細な違いや発見という意味はあるんだろうけど、音そのものは知ってるからねぇ。そんなのもあって今は気分的に新しくてピチピチした音を楽しみたいんだな。だから新しい世界の新しい音、そして自分がまだ全然バンドごとに音の雰囲気を掌握しきれていないもの、言い換えると適当に聴いてるから全然バンドの個性を認識してない世界、とも言うが(笑)、まぁ、その辺がいくつか出てきたので適当に。

 っても前作「Beneath the Veiled Embrace」が結構好きだったPythiaという英国のバンドのセカンドアルバム「Serpent's Curse」が出てきましてね、どうにも日本でも売り出したい意向が強いらしく日本独自アルバムジャケットという国内盤もリリースしているという力の入れよう。その辺のバンドの差は一体何なんだろうとも思うけど、ピーシャの場合は多分ボーカルのルックスが目立つことと英国産だから?もちろんバンドの音や個性ってのもあるんだろうけど、日本盤のアルバムジャケットを毎回ボーカルのエミリー姫のどアップにしていることからやっぱり顔だよ顔、みたいなさ。英国オリジナルアルバムの叙情的なセンスの欠片も感じられない国内盤のジャケットには大いに問題がある気がするけどバンドもそれで納得してるんだろうか。まるでどこかのバンドみたいにボーカルしかいませんみたいなアルバムジャケットって、ねぇ…。明らかにオリジナルの英国盤ジャケットの方が良いと思いません?

 それはともかくこのセカンドアルバム「Serpent's Curse」、前作よりももっとメロディッククサメロになってきた感じで、こんなバンドだっけ?とちょいと疑ってしまって…、聞けば日本のドラゴンフォースと言うバンドのアルバムにもゲストボーカルで参加していると言うことでなかなかアングラな世界の連鎖は素晴らしい。ってことはLight Bringerとも繋げられるってことじゃないか。世界進出はしなくて良いけど、日本のその手のバンドは日本に世界が集まってくる状況を完全に作り上げてしまえば良いワケで…、いや話が逸れた。このピーシャのセカンド「Serpent's Curse」、物凄くハイレベルな音でそれほどスピードメタルというほどの無節操さではなくて、しっかりと範疇内のメタルとポップさ加減できちんと創り上げてくれている音、そして間違いなく重厚なものが底辺を流れているので英国風なのかな、やはり。ここまで来るともうよくわかんないが(笑)。単に美しい歌声と確かなテクニックのバックでメロディのしっかりしたメタルサウンドで快活に聴ける、そういうのが良いね。


■ Pythia - Beneath the Veiled Embrace

Beneath the Veiled Embrace ゴシックメタルやシンフォニックメタルという如何にもヨーロッパテイスト溢れる仰々しいサウンドを武器にしたバンドはやっぱりヨーロッパのそれぞれの国から出てくることが多く、フィンランドやオランダなんてのは顕著なところだ。そしてロックの本拠地と言えば英国、英国出身のこの手の女性ボーカルによるメタルサウンドのヒロインというものは実はほぼ皆無だったのだ。普通のバンドで言えばParadise Lostがそもそもの発端という意味で大英帝国を背負った作品をリリースし続けているのだが。

Pythia - Beneath the Veiled Embrace Pythia

 そんな英国からようやく期待の新鋭バンドが登場し、それもかなりレベルの高いサウンドとコンセプトなのでこれからが楽しみだ。

 Pythiaというバンドでアルバムは「Beneath the Veiled Embrace」がリリースされたばかり。良いでしょ、このジャケット。センスが違うよね。やっぱりこういう繊細なセンスからして良いのですよ。そして音を聴いてみると、これがまたゴシックメタルっていうのではない感じなんだが、パワーのあるメタルにややシンフォニックさを加えて、しっかりとしたエミリー・アリスという如何にもな名前の女性ボーカルが前面に出てキュートな姿に似合わない大人な歌声を聴かせてくれるというものだ。なんと言ってもこのエミリー・アリス嬢、ライブではロリータなコスプレで歌っているのだから…。ちなみにバックの面々は野郎どもで、真っ黒なラフなスタイルなので、全くアンバランスなスタイルだが、今更そういうのを気にしてもしょうがない。まずは音で勝負しようじゃないか…。

 いや、ホントにね、やっぱ英国なんだよ、時代は変わっても。ヨーロッパほどシュールに仰々しくないけど、しっかりと湿っている音で、本人達は元気よくやってるんだけどやっぱり暗い、っつうか(笑)。歌メロもしっかりと出来ていたりするからセンスは見事だと思うし、楽器もヘタじゃないししっかりと曲も押さえている。ただちょっと飽きが来る感じはあるのでもうちょっと曲に幅を持たせるとかキラーな作り方をするとかが課題なのかもしれない。

 …とまぁ、イロイロあるんだけど、新旧併せたメタルの良いところを押さえたナイスな作品「Beneath the Veiled Embrace」…っつうかバンドで、ギターも鍵盤も歌もしっかりと自己主張した美しいアルバム。多分何回か聴かないと染みてこない感じではあるが。2曲目のシングル「Sarah」は名曲の域に達しているしね。


■ Paradise Lost - Faith Divides Us Deaths Unites Us

Faith Divides Us Deaths Unites Us 元々ヘヴィメタルという音楽は悪魔的だったり宗教的なモチーフとしてアイコン化されることも多く、古くはブラック・サバスなんかが代表だよね。その後もメジャーなバンドはそんなにアイコン化されることは多くなかったんだけど、B級路線的なトコロでは結構そういうテーマが用いられていたってのは多い。そんな側面がクローズアップされてそれぞれひとつのカテゴライズとして成熟してきたのがここ最近の流れかもしれない。最近っても10年以上の単位なのだが(笑)。

Paradise Lost - In Requiem In Requiem Paradise Lost - Draconian Times Draconian Times

 Paradise Lost、英国出身のバンドで既に20年選手のベテラン…、オアシスと同じようなものか…。そんなバンドが2009年に12枚目ともなる作品「Faith Divides Us Deaths Unites Us」をリリース。これがまたU2と同じようにだな、最初期のバンドの音からデジタル路線に歩み、2004年頃の作品から原点回帰を図ってこの「Faith Divides Us Deaths Unites Us」に至るというものだ。即ち初期の音にノックアウトされたリスナーはここ最近の作品「Paradise Lost」「In Requiem」も含めて回帰しているParadise Lostを再度応援しているというような図式。更に新たなるリスナーをも取り込んでいくというのも時代の成せる業。自分なんかは聴き始めたのが割と最近だから後者に当たるんだけど、やっぱホンモノの音ってのは聴くとわかるものだよね。  英国出身のゴシック/ドゥームメタルバンドということで、やっぱり本場の重さとか格式というの

が圧倒的に他国のメタルバンドとは異なっていて、実に重い。なんでこんなに違うのかと思うくらいに重さと荘厳さが同居した素晴らしい作品です。嬢メタルではない本当にゴシック様式を踏襲した重厚なメタルで、前にも書いたけどメタリカの貫禄をも持ち得ている英国の代表。ここまで重く美しく格式高いメタルってのはヨーロッパ広しと言えども他では聴くことのできない音。ある意味絶望の淵にまで叩き落とされる凄さは人間の弱さの象徴でもあり、またそれをモチーフに深層心理を抉った詩世界も素晴らしいモノだ。

 スピード感のある楽曲なんかでも決して明るく脳天気にノるものではなく一人で内に向かって頭を振るような図式、みんなで騒ごうという姿などはほとんど想像できない世界。もちろん実際のライブではそんなことないんだろうけど、もうね、自分の世界を堪能するための音っていうかさ、凄いわ、こういうの。こんだけロック聴いてても気になる音世界だもんな、Paradise Lostって。英国だから余計にね。


■ Paradise Lost - Draconian Times

Draconian Times  ゴシックメタルという語源はどこから出てきたのか?いや、そのままだから別に気にすることもないんだけど、どうやらパラダイス・ロストというバンドの1991年の作品「Gothic」というアルバムに発端を求めることが多く、今や割と定説になっているようだ。しかしまぁ、このバンド自体は元々デスメタルというカテゴリーに属していたので自分的に聴くことはなかったのだが、バンドというモノは進化するもので、徐々にデスメタル領域からメロディアスでゴシックな世界に移行してきたようだ。そこでは既にデス声なんつうものは封印してしまって、圧倒的な貫禄を誇る荘厳なメロディとアレンジ、そして暗く重く美しい世界を構築してきた最高峰のアルバムがこちら。

 「Draconian Times」1995年リリース作品。このバンド、別に女性ボーカルじゃないし大して興味も持たなかったんだけど、何と言っても英国出身のバンドってことで、引っ掛かった。英国出身のバンドがゴシックの世界を創り上げるとどうなるんだろう?って。しかもオトコの普通の声でメタルを基準にしたとなるとやはり英国の荘厳さ、貫禄と言ったものがどういう形で出てくるのかなぁと。

 結果論:素晴らしく英国的な貫禄と雰囲気と空気と圧倒的な荘厳さと存在感と美しさで聞き手をその世界に誘ってくれました。ゴシックメタルとか何とかっていうか、ハードな音で英国のダークな側面を映し出してくれた、しかしそれすらも美しく…と言う感じで芸術的です。このアルバムで聴ける音は間違いなく英国のしかもアンダーグラウンドな香りたっぷりのヘヴィロック。しかもこのアルバム「Draconian Times」は彼等の歴史の中でも名盤の誉れ高く、ゴシックメタルの世界でも当然地位を確立しているので、もちろん世界的なレベルでも素晴らしい出来だろうなぁ。

 なんかね、聴いていると懐かしくもあり、そしてハードでもあり、でも凄くモノ哀しいという感じに襲われてハマるんだよ。曲作りが英国的なんだけど、無理がないっつうか、70年代にはこういうバンドなかったから例えられないんだけど…、正に新世代のバンドなんだろうな。もう10年以上前の話だが(笑)。なかなか面白いのでこれからもちょろちょろと聴いていこうかなと思ってるバンド。アルバムはもう十数枚出ているってことなのでこれまた根気がいる事ではあるが…。



■ Paradise Lost - In Requiem

In Requiem  耽美的かつゴシックに…って言うとやはり今となっては大御所となったバンド、パラダイス・ロストが浮かんでくる…。このバンドについてはね、やっぱりある意味自分的にも最後の砦的なトコロがあってさ、いや、やっぱり英国のバンドだからあれやこれやと色々な国の素晴らしさや特性なんかを聴いていても、全然違うんだよね。迫力とか重さとか荘厳さとか音色とか雰囲気や世界観などどれもこれも陳腐な点などひとつも見つからない緻密さももちろん、更にヨーロッパを代表するかのような重鎮の貫禄と言ったものまで全てを持ち合わせているから。

 何故に英国のロックはこういう世界を創り上げてしまうのだろう?やっぱり国民性というのか大英帝国の成せる業としか思えない世界。今のところの新作は2007年にリリースされた「In Requiem」なのだが、既に8枚目くらいのアルバムなんだけど、独自の世界観を完全に創り上げていながら更に進化する姿を見せてくれるのも素晴らしい。これぞ大英帝国のヘヴィメタルと言わんばかりの重さは他に類を見ない。そういう作品を今の時代に投下してくるのも自信なんだろな。

 近いバンドって多分メタリカなんだろうけど、メタリカよりも重いし美しい。だから英米の違いがはっきり出ていて、自分的にもやはり最後の砦的なバンドになっちゃう。大音量で聴いているのにどんどん鬱になっていくっていうメタルってそうそうないぜよ。これまでの作品でも名作は何枚もあったパラダイス・ロストだけど、この「In Requiem」はそれらを更に上回ると言っても良いくらいの迫力を持った作品だと思う。70年代の英国ロックが輝いていた栄光の片鱗をひとりで背負って21世紀を生き延びているのではないかと思うくらいにストイック。こういう美しさはなかなか出そうと思って出せるモンじゃない。

 音的に何が凄いんだろう?と思うんだけど、やはりピンク・フロイドで描かれた圧倒的に遅くスキマのあるドラミングの中を超重低音のベースが這いずり回り、ギターの音色も低音とミドルに焦点を当てながらもイコライジング的にミドルを削っているのでその分重低音が強調され、歌にしてもゆったりと悲痛に叫び上げるというものが多い。それをこれもまた荘厳でクラシカルな音色の鍵盤が覆い囲むというものもあり、壮大さを演出。どれもこれもが圧巻の一言。



■ Dragonforce - Ultra Beatdown

ウルトラ・ビートダウン(期間限定) 久々にネットでアチコチ徘徊…、世の中色々な音楽が溢れているなぁ…、お?これ面白そう…、などとたっぷり時間を掛けて徘徊するとイソイソとした時には見逃してしまうネタや音のレビューに出逢う。まぁ、レビューってのは自分が聴く気になるかどうかの参考でしかなく、レビュー自体をどうのっていうことはほとんどなくって、やっぱりジャケットとかさ、そういうのがインパクト強い。そして今度は恒例のCD屋での物色♪ これはやっぱり閲覧性の高さで情報収集力が圧倒的に優れているからよろしい。時間があって何度も行ってると普段気にしないモノまで気になってくるのもこれまたよろしい♪

 唐突にドラゴンフォースっつう英国のバンドの新作「ウルトラ・ビートダウン」…っても8月末にリリースされたものらしいが、気になったので聴いてみる。気になった理由:日本のアニメ風のジャケット。最近ではアニオタとメタルの融合が激しいのだが、理由がよくわからなくて、不思議だなぁ〜と思っててね。何となくゴシックメタルとアニオタの融合ってのはロリータっつう概念で理解できるのだが、スピードメタルとかとアニオタの融合って何で?って思ってたが、そうか、海外のバンド側が日本のアニメオタクだったりっして、キャラクターにそういうのが登場するから日本のアニオタ側はそれもコレクションしていかないといけないっつうところから融合されるのか。あとはテーマ曲なんかもあるんだろう、きっと。ダフト・パンクだけが例外ではなかったのか…、ま、そりゃそうだな。世界に誇る日本のアニメだもんな。

 …ってなことでどういうもんなのか気になったのだが…、いや、凄い。超高速メタルでして早さは過去聴いた中で一番だと思う。それでいてメロディはしっかりしていて美しかったりするのでなるほど、アニメと融合するハズだ…。逆に普通のメタルファンはあまり好まないんじゃないだろうか。どこか男臭いメタルというのをすべてスカされていて、音はメタルだけどやっぱ違う、って思うモン。いや、悪くないけど、これも新世界。そして凄いテクニックを持つバンド…ってかテクなかったらこんなのできないだろうからな。ギターにしても超高速だしドラムも然り、とにかく凄いテク。そして曲展開は見事にドラマティックで、正にアニメの30分番組を音で表現しているかの様。なんか…凄いなぁ、この世界。

 初めてこういうメロディスピードメタルの世界を経験したんだけど、聴きやすいね。ただ、何度も聴くか?ってのとどれもこれも同じに聞こえるってのがよくわからん(笑)。英国らしさ、ってのもあるのかどうか…、まぁ、いいか、スカッとするし(笑)。