GOTHIC METAL(ゴシックメタル)の館

 「ロック好きの行き着く先は…」にて連載されたゴシックメタルを纏めて…

■ Evanescence - Fallen

フォールン  21世紀に入るとヒップホップの要素も上手くロックと融合して独自のサウンドが形成されていくようになったが、その中でももう一つ悪魔的な要素を持ち込んだ、と言うか映画「デアデビル」に使用されたことでバンドのイメージがそういう風に固定されたことで独自性を持たされたと云うべきか、いずれにしても見事に時代の感性とバンドのイメージがマッチしたバンドにエヴァネッセンスというのがいる。バックはラウンドロック系なんだけど、ボーカルを担っているのが可愛い女の子ってことで人気を得ているのもあるな。

 アルバムとしてはまともにリリースされているのはまだファーストアルバム「Fallen」一枚だけ。他は昔のデモテープ集やらライブの寄せ集めやらで作品として出来上がっているのはまだまだらしいが、今アルバム制作中とは聞いているのでまたそのうちリリースされるのだろう。

 ファーストアルバム「Fallen」が驚異の売上げを弾き出してしまったのでセカンドアルバムのプレッシャーは相当なものだと思うし、彼等が狙ってそれを作れるかっての甚だ疑問もあるけど頑張ってもらいたいね。何てったってこのファーストアルバム「Fallen」は相当の傑作なんだもん。ボーカルのエイミーの歌がかなり上手くてさ、それがバックのヘヴィーな音とは異なったところで浮遊して聞こえてくるのも面白いし、男のドスの効いた声をバックコーラスっつうか掛け合いにしながらその上を行ってエイミーの歌声が奏でられるのは魅力的。しっかりとストリングスなんかも入っていたりメロディーラインもかなり作り込まれていたりするので、面白いよ、このアルバム。エイミーがピアノで弾き語るってのもあってなかなか素敵。しかしアメリカの21世紀のラウドバンドの中では群を抜いたアレンジ力があるんじゃないか?アメリカらしくないもんな。

 冒頭を飾る「Going Under」の迫力がこのバンドの方向性を結実に物語っているんだけど、キメとノイズの中での美しい歌声とメロディは傑作。同様路線の「Bring Me To Life」もバックとの掛け合いが面白いノレるロック。映画で有名になった美しきバラード「My Immortal」の美しきストリングスとピアノのセッションに刹那的なメロディを歌い上げた楽曲の素晴らしさ。往年の英国ハードロックを踏襲したかのようなリフが刻まれる「Tourniquet」も聞いていて心地良いサウンドでさりげなくピアノが鳴っているあたりが曲に優しさを与えている…このリフでこのメロディとは、やっぱセンス良いかもしれん。そういう意味では「Whisper」も往年の英国ロック的リフによる曲展開を主としていて歌メロも意表を突く感じなので面白いかな。書いてるとキリないな(笑)。

 テレビでライブやドキュメンタリーを見たことあるんだけど、ライブは何となく悪魔的なイメージをちゃんと持たせているのでわかるけど、移動中とかのドキュメンタリー見てると当たり前なんだけど普通のお嬢さんとバンドやってる兄ちゃん達って感じで普通。アメリカだからかもしれんけど、昔なら何か神秘主義みたいなのは素顔が出てこなくてそれだけで雰囲気持ってたりしたんだけどねぇ、こうあからさまに見せられるとショウビジネスの裏側が見えてしまってちょっと興醒め。まぁ、それが当たり前ではあるが。うん、でもこのバンドは面白いので結構次作に期待中♪



■ Evanescence - The Open Door

 2003年にデビューしてアルバム一枚で世界中を制覇してしまったエヴァネッセンスだが、メンバーの脱退やら失踪やら色々とトラブルに見舞われていたようで二枚目のアルバムが出るまでに3年もかかるという新人バンドとは思えない期間の長さにはこの時代にして驚くモノだが、まぁ、メンバーの問題ならばしょうがないか。ファーストアルバム「フォールン」が凄くよかったので結構期待していた二枚目のアルバム「ザ・オープン・ドア」がようやくリリース♪ 実は音源自体はちょっとマニアックなところで入手したので9月上旬には聴いていたんだけど(笑)、うん、メンバーが替わっていても全然問題ないね。

 ボーカルを担うエイミーの歌声は相変わらず…どころか更に伸びやかな艶のある声になっているかもしれん。サウンド的にも前作のエヴァネッセンスというバンドのもつ形態と同じ路線で作られているのですんなりと聴けるのが面白い。こういうサウンドの作りっつうのはエイミーが全編握っているからなのか、プロデュース的にそうしているのか、後任メンバーがエヴァネッセンスの香りをしっかりと吸収してから参加しているのか、もともと誰でも出来上がる曲なのか(笑)…、いや、それくらいにファーストとの差が出てこないので不思議。

 相変わらずのゴシック調の曲のイメージとエイミーの引き込まれるような歌唱力に、ラウドなノイズギターと強烈なグルーブ…、その中にしっかりとストリングスで美しい音が奏でられていたり、アコースティックギターが部分的に使われていたり、もちろんピアノも自然なモノとして使われているので、そこだけ聴くとどこがゴシック調なのかとも思うが、そういったごった煮のサウンドが流れる中でメロディがしっかりと作り込まれているところがなんかかっこいいんだろうな。最初はファーストの方が全然良かったなぁと思ってたけど、聴いているウチにこっちもかなりの出来映えで今後も期待しちゃうバンドだよね。何か一時限りのバンドかと思ったけど意外と息の長いバンドになるのかもしれない。

 ジャケットもバンドのイメージを裏切らない印象で、コンセプトがしっかりしていて良いね。期待しちゃうジャケットだもん。唐突に本ブログに登場した何の脈絡もない取り上げ方しちゃったけど、やっぱかっこいいのでいいでしょ♪



■ Emilie Autumn - Opheliac

Opheliac  日本の文化ってのが近年では世界に進出していることが多くて、それは意図して流出しているものではなくって世界が勝手に注目することで流出していくことばかりだ。平たく言えばアニメやゲーム。完全に日本の文化が世界に流出して標準系を作っているようだし、また評価されまくっている。それとヘンな話だがビジュアル系のバンド。サウンドはともかくああいうイロモノ系ってのが世界には類を見ることがなくってアニメのコスプレなんかと被るのか、イロモノ系のバンドのファッションが流出しているらしい。その派生か、ゴスロリっつうファッション=ゴシック・ロリータなんだが、これもまた日本からの流出、だよな?大体青い瞳を持つ人種がゴスロリファッションしたらそのまんまじゃねぇか。日本人がやるからヘンなワケで、欧米人がやったらそのままフランス人形になっちゃうワケで、そもそも必要があるのかっつうか意味ないだろ、と思うのだが、やはりファッションというのは世界を制す。好きなヤツはどこにでもいるんだな…。

 ってなことを好きで地でやっているエミリー・オータムという女性。シカゴ出身の天才バイオリニスト兼アーティストなのでした。ちょっと前にリリースされている「Opheliac」という作品が一番エキセントリックかな、と思って取り上げとこう。いや、最近知った人なんだけどさ、凄く面白い。Emilie Autumnは完璧にアーティストな人だし、こんなルックスだけどバイオリン弾かせたらイングヴェイ顔負けのプレイです。もちろんクラシックなバイオリンなどは普通に弾けるワケで、それをロックの世界に持ち込んで歪ませて早弾きプレイまでしてしまうとギター顔負けの音ですよ。ところがそれだけでなくこのファッションでインパクトありすぎだし、アーティスティックには鍵盤も弾くけど歌ってパフォーマンスも素晴らしい。そしてEmilie Autumnから出てくる音世界と来たら超アヴァンギャルドっつうのかインダストリアルなサウンドだったり戸川純だったりケイト・ブッシュだったりどこか椎名林檎だったり、いや、完全に独自の世界だったり絶対天才としか思えないようなマルチアーティストぶり。奇抜なルックスで普通のファンを獲得して、音世界でマニアを引き入れ、彼女の映像美を楽しみに待っているファンは多いはず。

 ん?ってか日本での知名度低いっす、ホントに。ネットで調べてもあんまり出てこないしさ。ま、偏った情報群で生きている世の中じゃしょうがないが、自分はこれをもちろんジャケットの奇抜さが気になって聴いてみた次第。YouTubeで見て更に驚いたワケさ。こんなルックスでアーパーかと思ったら驚くばかりのバイオリニストじゃないですか、ってことで、アルバム聴いたら更にぶっ飛んでて…。エミリー・オータムって人は多分今のところ出ているアルバム全部聴かないと彼女の世界がわからないと思う。アヴァンギャルドな世界ならこの「Opheliac」というアルバムだけど、「Laced/Unlaced」では完全にバイオリニストに徹している作品で歌無しだしさ。

 最近新曲としてクイーンの「Bohemian Rhapsody」なんつうのもやってるので聴いてみると面白いかもよ。こういうカバーもあり?ってな感じだしね。でもやっぱエミリー・オータムの独自世界を知ってもらった方が楽しいと思うな…。最近滅茶苦茶ハマっている音です。



■ Emilie Autumn - Enchant

Enchant (Digi)  女性バイオリニストでアヴァンギャルドな…ってことでリリ・ヘイデンもさることながら、更にゴスロリ風味とメランコリック風味をクラシカルな才能と合わせて売りネタにしてしまった天才バイオリニストのエミリー・オータム姫。相変わらず日本ではほぼ無名に近く全然売れる気配もないのですが、いやいや、凄いです、彼女は。

 今回は2003年に録音されつつ2007年までメジャーリリースされなかったセカンドアルバム「Enchant」です。うん、エミリー・オータムの場合はホントにアルバム単位で、もしくは曲単位でガラリと音楽性が変わるので全部聴いてみないとなかなかどれが良いと言い切れないのが難しいんだけど、この作品はバイオリニストというよりもメランコリックなゴスロリ世界を醸し出した作品で、バイオリンももちろん要所要所で活躍しているけど、どっちかっつうとアーティスティックな側面を打ち出してるかな。だからピアノと歌だけでアバンギャルドに攻め立てるとか、メロディがえらく素晴らしい旋律だったり、欲情的な歌が入っていたりして面白い。聴いているとあっちの世界で満喫したくなる人なので、ちょっと変わったモン好きな人には聴いて貰いたい部分ある。万人向けじゃないが…

 美しい作品です、この「Enchant」は。どれも美しいけど、世界観が綺麗。アメリカのシカゴからこんなのが出てくるってのが信じられないけど、教養の成せる業でしょうか、知性を感じるんだよね。冬の静かな一時に夜一人でゆったりと聴くとハマれる人です。スタイルや格好なんかはぶっ飛んでるけど、しっかりアーティスト♪