GOTHIC METAL(ゴシックメタル)の館

 「ロック好きの行き着く先は…」にて連載されたゴシックメタルを纏めて…

■ Domina Noctis - Second Rose

Second Rose 相も変わらずヘヴィなメタル…っつうか嬢メタルばっかり聴いていたりするんだが、それというのも2009年にドドドッと色々なバンドが新作を出したりニューカマーが出てきたりして面白くて聴き漁ってしまったってのが原因。残りそうなバンドはそれほど多くないけどみんな独自のカラー出してて楽しめるし、お国柄が見え隠れするのもユニークで各国のバンドを漁ってるんだよね。やっぱその国の代表みたいに見えるしさ、突出するモノがあったワケだから世界デビューしているんだし、秀でているハズなんだよね。そんなトコロでLacuna Coilが世界制覇を進めているイタリアからのバンド、Domina Noctisです。

Domina Noctis - Second Rose Second Rose

 「Second Rose」という2009年にリリースされたセカンドアルバム。もっともファーストアルバムはまだ聴いてないのでどんなんかわかんないけど音楽性に大きな変化は伴っていないらしい。まぁ、それはともかくこの「Second Rose」を聴いてみるとですね、イタリアってこういう音のミックスが主流なんだろうか?って思うようなコンプレッサーが効きまくった音の質感。粒揃いになっていて聴きやすいのかもしれないけど、ちょっと揃いすぎだろ(笑)。故にバンドの迫力とかがちょっと前に出にくくて、全てが前面にあるけどどれも奥に引っ込んでいるというような音のバランス。何かLacuna Coilもそんな音のアルバムがあって違和感を感じたことがあるような気がする…。もちろんそれぞれのお国柄による文化があるのでね、そんなところも気付くと面白いです。

 そんでもってバンドの音はと言うとですね、これはもうゴシックメタルと呼ぶにはちょっとポップすぎるのかもしれない。決して明るくキャッチーというワケじゃないんだが、メロディがえらく起伏に富んでいてゴシックな雰囲気はほぼ皆無。バックのアレンジにしてもやっぱり嬢ハードロックってな感じかね。逆にドロドロした雰囲気はないので聴きやすいんだが、それにしては何を打ち出したいのかよくわからないサウンドなんだよな…。ギターが目立つワケでもないし、鍵盤が前に出てクラシカルってんでもないし、歌…か?まぁ、見た目は良いけどさ、ちょっと売りが足りないんじゃないかな…なんて余計なことが気になったが、悪くないです。絶対に聴く必要があるかと言われると、そこまではないけど悪くないってトコ。

 ちょっと面白いアプローチってトコロではPatti Smithの「Because The NIght」をDomina Nocts流のアレンジでカバーしているってとこだが、どうしてもちょっと浮いてしまうなぁ…、いや、楽曲の素晴らしさを再認識してしまった(笑)。


■ Lacuna Coil - Shallow Life

Shallow Life  アメリカを制したイタリアのバンドってこれまで多くはなかったハズで、70年代のイタリアンプログレ全盛期であれば日本とかでも人気はあるんだけど、それ以降ではなかなか耳にすることはなかった。そんな中でゴシックメタルと云われるジャンルの一端としてラクーナ・コイルが出てきて、3作目「Comalies」からワールドワイドな展開に成功して前作「Karmacode」では思い切りメジャーブレイク。そこで次なる新作に期待が高まっていたところにリリースされた5枚目の「Shallow Life」。

 このバンドのジャケットセンスってよくわかんないんだけど、いつも何かを象徴するアイテムに視線が向かうようなものが多い。ちょっとセンスが違っていて面白いなとは思うが。そして肝心の音世界だが、最早ゴシックメタルバンドという形容詞は全く相応しくなくって、一般化されたメタルサウンドに男女ボーカルが二人在籍しているバンドというような感じでして、ゴシック色はほぼ皆無。もっとも初めからラクーナ・コイルの場合はゴシック色が強かったわけじゃないからバンド的には特に変化したワケでもないんだろうけどね。

 「Shallow Life」は基本的に3作目「Comalies」以降の「Karmacode」と同じ路線と曲調で完成度はもちろん高くなっている。ラクーナ・コイルの特徴でもある重低音を基本とした音の中に男女ボーカルを上手く組み合わせて世界観を創り上げている姿勢は変化ないけど、細かくはアレンジの緻密さに出てきていたり、ちょっとした効果音的なところで上手くなっていたりするかも。それと男女二人の歌うシーンをかなり均等に割り振った感じで、楽曲的にドラマティックさを狙うとかではなくってごくごく自然に男女ボーカルが入ってくる感じ。多分、曲を作る側もそういう二人の歌い手というのを自然に認識して作っているからか、対比法による曲が当たり前に出てくるのが面白い。今のところこういうバンドはラクーナ・コイルだけと云ってもよい状態なのでそういうところでも面白さは増しているね。

 ただ、ちょっと…。うん、何か飽きる(笑)。「Comalies」「Karmacode」が持っていたテンションの高さっつうのか、気迫ってのに欠けている感じでさ、もちろん成功した後のアルバムだからレベルは高いんだけどロック的にはやっぱり悲愴感や切羽詰まり感から来る迫力ってのが欲しいなぁと。ライブ見ればまた変わるんだろうけど、ちょっとそういうのが少なくなってきてアルバム一枚聴くテンションが持たない。まだ聞き込みが足りないからかもしれないけどさ。


■ Lacuna Coil - Comalies

Comalies  今度はイタリアの歌姫が主役の、そしてアメリカをも制覇してしまったゴシックメタルバンドとして名高いLacuna Coilへ進もう〜。漁ると続々と出てくるこの手のバンド、それぞれ個性豊かで面白いしお国別の特色なんてのも一応出てきていてなかなか楽しめる。イタリアっつうことでやっぱり古き良きイタリアンロックの流れからああいう壮大で仰々しいドラマティックな泣きものだったら上手いんだろうなぁと憶測を巡らせていたものの、実際に聴いてみると全然そういう色が出ていないというのはいかがなものか(笑)。

 2002年の彼等的には4枚目のアルバムで、アメリカで25万枚くらい売れたらしい。そんなに凄い音のアルバムか?って訊かれると別にそうでもないような気がするけどな…。ただ非常にバランスの取れた作品であることは間違いないみたいね。一応女性ボーカルのクリスティーナ嬢とオトコの歌が結構絡むんだけど、クリスティーナ嬢の声がそんなに力強くもなく弱々しくもなく、ただ圧倒的に巧くって、だから歌唱力という面で凄く聴かせてくれてしまう楽しみはある。バンドの方もテクニックは当然しっかりしているのでその辺のバランスが良いんかな。ゆったりとした大きいノリを中心に歌を聴かせてくれて、少々最近のデジタル音をかましてくれる感じで意外と壮大感は感じられない。あまりイタリアを感じることはないのががちょっと残念だけどね。かと言ってヨーロッパ的ってのでもないからやっぱりアメリカで売れてもおかしくないのか…。なるほど(笑)。

 アルバム的にはこの後に出た最新作「Karmacode」の方がストリングスを多用したヨーロッパ感覚を打ち出した感のある作品になるのかな。割と有名だから何枚か聴いてみたんだけどね、どうやら一般的に良いとされる作品以外の方が自分に響くケースが多々あるので、今回もそうらしい(笑)。いや、でもこっちの4枚目の方が旋律的にもいいと思うけどな。アメリカで売れたからって媚びてなくって、自分たちの本来の音を追求しているような感じで、それで風格を出しながら、みたいなとこでさ。しかも効いていると所々でイタリア的センスが見え隠れしているのも面白い。そういう面ではやっぱり奥深くじっくり聴く必要はあるね。



■ Lacuna Coil - Visual Karma: Body Mind & Soul

Visual Karma: Body Mind & Soul (2pc) [DVD] [Import]そういえばここのところ2007年のラウドパークのライブをオフィシャル収録してリリースしたバンドが二つばかり出てきて、ちょっと気になったので…。イタリアのラクーナ・コイルとスウェーデンのアーク・エネミー。そんなに日本でのライブがよかったんだろうか?ラクーナ・コイルは初来日で、満足度が高かったってのはあるのかもしれないな。アーク・エネミーは何だろう?ファンの勢いが凄かったんだろうか?それとも良い映像が撮れたからかもしれないな。あ、それはあるか。機材に関しては多分日本って世界一だろうし、しかもあんだけのフェス用だから自ずと良い機材で良い映像で、しかもバンド側の出費が少ないワケだから(笑)。いやいや、ショウビジネスの中味は知りませんので何とも言えません…。

 んなことで、ラクーナ・コイルの新作DVD「ヴィジュアル・カーマ」なんぞはいかが?最近こういうのって限定盤とか通常盤とかナントカ盤ってのがあって非常にややこしい。ニッチなコレクターがいたらさぞや大変だろうと思うくらいに色々な種類が出ているので、全くの素人が普通に買いたいと思ってもこれまた大変。別にオマケとかなんにもいらないから本編だけよこせ、ってのあるじゃん。DVD二枚もいらんよ、見るの大変だし…みたいなさ。ステージフッテージのドキュメンタリーとかバンドの内情を見るにはよいんだろうけど二回も見ないでしょ?な〜んてのもあって、色々なバージョンが出ているんだろう。

 …と言いながら、やっぱり一番豪華なDVD二枚+CD二枚っつう初回限定盤が一番満足してしまうのかもしれん。輸入盤で手軽なのが良ければDVD二枚組で2000円程度、初回限定だと8000円くらい…。う〜ん、商売ってのは色々な手があるモンだ(笑)。

 さて、中味。ドイツで行われているメタル系では最大のフェスティバルでもあるWACKEN OPEN AIR 2007でのステージでは快晴の天気の中、真っ黒と赤で彩られたバンドが出てきて重いサウンドを聴かせるというアンバランス感ながらもステージそのものは非常に気合いの入った演奏だね、これ。ボーカルのクリスティーナ嬢が真っ黒に日焼けしているのもフェスティバル続きな証拠だろうか?あまり健康的な人でもないんじゃないかと思っていたけど、こうしてみると割とヘルシー(笑)。しかしこういう青空の下で演奏されるゴシックメタルって、ちょっと違和感…っつうか暑苦しい。イタリアのバンドだからだろうか(笑)?

 そして日本のラウドパークでのライブ…、やはり屋内でのステージは照明もあるから迫力が違うよね。衣装もこっちのが可愛らしいし。心なしか気合いも違う感じだが…、いつもこんなライブなんだろうか?確かに相当凄まじいライブを繰り広げているってのがよくわかるライブで、持ち時間が短いから一気に突っ走っていられるのかもしれん。しかしまぁ、ナマで見た時も思ったけど7弦ギター二人と5弦ベースで真っ黒っつうのは重い。凄くヘヴィー。そして男女ボーカルってのも個性的で、今年新作出すらしいけど、結構楽しみだな。

 おまけのDVDは適当に楽しむとして、それぞれのライブCDもやっぱ映像がある方を楽しんでしまうので結局DVD一枚しか楽しまないんだなとやっぱり思った。ま、いいさ。記念品としての価値もたっぷりあるし♪



■ Lacuna Coil - Loud Park 07 Live

Karmacode  今回はラウドパーク参戦で、他のバンドと合わせて見れることでラッキーって思ったのがLacuna Coil。単独では多分見に行かないだろうけど、こういうので見れるのなら見るね、っていう微妙な位置付けなのだ。

 いやぁ、驚いた。CDで聴いている分には結構軽めでメロディアスっていう印象なんだけど、ライブになるとこんなに重い音になるのか?ってくらい重い音だった。そして全員がやはりメタル好きなんだろうなぁ、曲が始まるとメンバー全員がヘッドバンキングしているから面白くて…もちろんボーカルのクリスティーナ嬢も小さなカラダで思い切りヘヴィメタラーしていてさ、しかもキュートな格好でそれしてるもんだからなかなか可愛らしい。が、顔を見るとやっぱりイタリア人のパーツがデカイ顔しているので日本で言うところの可愛いというのとは違うな(笑)。いや、それはまぁ良いのだが…、プレイされたのはもう「Comalies」「Karmacode」の二枚のアルバムからの曲ばかりでこれもまた一時間弱くらいの出演だったので思い切りノリの良いナンバーばかり演奏していたってトコかな。

 うん、なんでこんなにCDと印象が違うのかと思ってよく見てたらギタリストは二人とも7弦ギターだし、ベースは5弦ベースだったので、確かに普通に弾いたら重くなるわな、と思った。でも圧倒的に迫力があったし、さすがにアメリカ進出で実績を上げただけはあるバンドっていう感じだったな。かっこよかった。



■ Rhapsody - Symphony Of Enchanted Lands Part2

Symphony Of Enchanted Lands Part2    音で表現するドラマ性、すなわちロックオペラと呼ばれたりシアトリカルなロックバンドと呼ばれたりするんだけど、そういう側面を強調して一大絵巻を繰り広げるというバンドもいくつか存在していて、それがまた大衆に受け入れられているというのも珍しいが、あるにはある。ザ・フーのロックオペラ「トミー」やプリティ・シングスの「S.F.ソロウ」なんてのから始まり、それこそ名盤なんてのはいくつもある。フロイドの「The Wall」とかさ。それで時代が進んでいくとDream Theatreを筆頭としたメタルとプログレを合わせたものが出てきてそこに物語的要素をハメることでより一層世界観を広げるという手法を90年代に採り入れて出てきたバンドがラプソディというバンド…かな。

 んなこと書いても全然知らなかったので偉そうに書けるもんではない。あれこれ調べていて、「ほう、そうか…」と見ていると最初のアルバム「レジェンダリィ・テイルズ」から「パワー・オブ・ザ・ドラゴンフレイム」までがひとつのストーリーになっていて…なんていく壮大なコンセプトに基づいた芸術集団でして、こりゃすごい、と。ムーディ・ブルースがそんなことをやってたけどね。んで、何故かその中のひとつではなくってその一大絵巻物語が終わって、次に進むのか?みたいな作品でもあるらしい「Symphony Of Enchanted Lands Part2」ってのを聴いたワケです。いや、ストーリー展開がアルバム一枚でしっかり練られていて音の作りも素晴らしいというようなことをどこかで目にしたので、アルバム全部を聴いていくのもまだ大変だから、とりあえずどんなんだろうか、と。

 驚いた。ヨーロッパで日本のアニメが定着化しているというのはなんとなく知ってたけど、こういうところに影響が出ているとは知らなかった。歌メロが昔のアニメソングの歌メロなんだよ、これ。クサメタルってそういうもんらしいけど、ここまで仰々しいメロディを歌うんだ、というのに驚いた。バックは壮大なオーケストラとかコーラス隊、美しいピアノや鍵盤による旋律を加えたヘビメタ、しかもかなりスピードのあるもので、メロディアスなラインを次から次へと繰り出してくるくらいよく出来ていて素晴らしい、の一言なんだが。アルバムジャケットにしてももうファンタジックでロールプレイングゲームの要素も入っているんだろうなぁ、こういうのは。アニメっつうかゲームの世界というか、要するに現実逃避の世界でして、見事にファンタジックな世界を展開…。だから最近のこの手のバンドはアニメファンからも人気あるってのはそういうことか、と納得。

 でもね、日本人の性なのか…、こんだけ臭いメロディーと起伏に富んだ楽曲構成による展開、更にテクニカルで美しいメタル的なギターソロの旋律と壮大なオーケストラ、そして速いスピードによる圧倒的なパワー、というものは実に好きなのだ(笑)。だから聴きやすいし、ついつい笑いそうになりながらもその世界観を楽しんでます。そのうち全アルバム聴いてみたいもんね。ちなみにイタリアのバンドなので情感たっぷりなのは想像できるかもしれん。更に映画「ロード・オブ・リング」でも使われたみたい。 



■ Luca Turilli - King Of The Nordic Twilight

King of the Nordic Twilight   音で表現するロールプレイングゲームの世界とメタルを融合させた代表格バンドでもあるラプソディの中心人物ルカ・トゥリッリが放つ自身のソロアルバム作品群。どうもラプソディの作品群と平行して作られていたようで、ファーストアルバム「キング・オブ・ザ・ノルディック・トワイライト」が1999年のリリースなので正にラプソディの方でも物語真っ最中なワケだが、当然ちゃぁ当然ながら別の物語を進めたかったのかな、と思う。んなことでソロ名義でありながら関係者はほとんどラプソディ関連の人間ということで、ある程度予想はされるものだが…。

 立て続けに聴いているので、どっちがどっちかわからないくらいに音楽的にもコンセプト的にも音色的にもほとんどその差がわからないくらいの傾向で作られた作品。もちろん滅茶苦茶ハイレベルってのは恐ろしい才能を証明しているんだが、普段からこんなのを作るようになっているってのはもう世代と環境が完全に違うね。クラシックとメタルとゲームとアニメが好きなだけでコレは作れないもんな。

 いやぁ〜、徐々にわかってきました、この手のサウンド。冒頭は物語の開始なのでナレーションやSE的なもので始まり、キラーチューンともなるべくスピード感のあるメタルがオープニングとして続けられる…。この一発でほぼアルバムの善し悪しが決まるというのも鉄則か(笑)。しかし、完全にラプソディと同じ展開なので、果たしてソロ作の意味ってのは??だが(笑)。でも凄いな。ここまでキャッチーで取っ付きやすいメロディのさびを作れるのは才能だし、速さも凄まじいし、バラードにしてもやはりメロディがしっかりしているので美しく聞こえるし、確かにこのヘンまとめてクサメタルと呼ばれるハズだわ。クサ=クサい、っつう意味で、あまりにもメロウな旋律がサビを覆うってことなんだが…、やはりルカ・トゥリッリの才能は恐ろしい。ボーカルが結構ハイトーンのパワー系な声なので面白いけどね。

 しかしこの手の音楽って昔からメタル好きな人は多分ダメなのかもしれない。あまりにも子供じみていて…いや、子供ってもテクは凄いのでメタルのなれの果てではあると思うけど、やっぱ硬質で重厚感ってのとは違うからねぇ…。メタルほど進化したジャンルって多くないんじゃないか?