GOTHIC METAL(ゴシックメタル)の館

 「ロック好きの行き着く先は…」にて連載されたゴシックメタルを纏めて…

■ Echoterra - The Law of One

The Law of One ゴシックメタルやシンフォニックメタルの世界ではどうしてもヨーロッパが圧倒的に進んでいてレベルも高いし素晴らしいバンドやシンガーが多数輩出されているのだが、文化的な意味合いからか日本はともかく英国でもそれほど数多くはメジャーシーンに出てきてないし、アメリカではエヴァネッセンスくらいのもので、それほどヨーロッパの底辺に流れている陰鬱さを反映したゴシックメタル、シンフォニックメタルというものを打ち出したサウンドを奏でるバンドは皆無に等しかった。大国アメリカには珍しいコトではあるが…。

Echoterra - The Law of One Echoterra

 そんな中、ようやく少しだけヨーロッパの世界に近づいた感のあるバンドが2009年9月にアルバムデビュー、バンド名はEchoterraと言う。アルバムは「The Law of One」という作品でして、序章から始まるという、何となくそれらしい雰囲気を背負ったムードがなかなかよろしい。ジャケットはちょっと子供っぽい気もするが、まぁ、良いでしょう。Echoterraっつうバンドだが、基本アメリカ人なのだが、ボーカルは何故かスウェーデンのお嬢様が艶めかしい声を聴かせてくれるというバンドでして、このボーカルだけが妙にヨーロッパ的雰囲気を強めている気がするのだが…。

 「The Law of One」の音はですね、ゴシックという感じではなくってちょっともの哀しい世界を背負ったハードロックというような感じなんだけど、かなり雰囲気はヨーロッパに近いものを出していてなかなか面白い。それでいて深みとか憂いとかメランコリックさとか壮大さってのはないのが不思議なのだが、それこそアメリカならではかもしれない。曲によっては面白いアレンジも施されていて、途中でエレクトリックダンスのようなアレンジが入っていたり、かと思えばピアノが美しく流れる中で歌い上げる雰囲気を優先した曲もあったりする。楽曲のバリエーションはかなりのものがあって、アルバムとしては飽きない作りになってるね。

 好意的に聴くならば、こういう雰囲気を持っていながら重くならずに聴けるハードなサウンドってのはアメリカにしか出来ないだろうから貴重。EchoterraはEchoterraで「The Law of One」を引っ提げて唯一無二の音世界を紡ぎ上げていると言えよう。まぁ、敢えて批判的に言うならば、そういう世界ってのはどうにも中途半端だからどうせ聴くなら本場のが面白いし深いよ、ってことだが…(笑)。ただ、聴いてみるとほぉ〜となる雰囲気はあるからこういったトコロから入っていくファンってのはありかな、と。男女ボーカルでデス声じゃないオトコの声だから割とよろしい。しかしこのお嬢の歌声、やっぱりヨーロッパ的です…。


■ Luna Mortis - The Absence

The Absence ゴシック系のメタルならば、もしくはその発展系だったりするなら…と思って大体がジャケットと「お嬢様」がいるかどうかで聴く判断材料としているんだけど、ここの所はデスメタル系やスクリーム系?要はお嬢様が雄叫びや叫び声やデス声で歌ったりするものも出てきていて、これはもちろんアーク・エネミー効果なんだろうけど、おかげで美しい歌声を望む自分的にはちょっとハズレもんが増えてきたんだな。今回のバンドLuna Mortisは果たして…。

Luna Mortis - The Absence The Absence - Luna Mortis

 以前はThe Ottoman Empireというバンド名で活動していたらしいけど、今作からはLuna Mortisとバンド名を変更したらしい。音の方は以前はもっとプログレッシヴな曲調だったとか…。聴いてないから知らないけど、まぁ、わからないでもない(笑)。うん、それでこのバンド名としては最初のリリースとなるアルバム「The Absence」なんだが…、疲れるなぁ…(笑)。また、ハズしたかもしれない…。

 えっと、気を取り直して…、まぁ、要するにまた雄叫び系+お嬢様歌なんだけど、全然ゴシックな雰囲気ではなくってどっちかっつうとスピード系メタルにちょっとアレンジ加えて女の子が一生懸命歌っているというようなもので、それは美しい声もあるけどスクリームな声もあるってなとこでして、ちと聴きにくい。音の方はと云えば、ちょっとヨーロッパテイストの入った感じのギターのテクニックとかもの凄いんだけどねぇ…、ちょっと何か突出すべきところがないのが勿体ないというのか、何かをきっちりと打ち出す方が良いとは思うけど、どうなんだろ?まぁ、気持ち良さそうに歌ったりギター弾いたりしているところは羨ましいけど。

 う〜ん、これもまたちょっと3曲くらいが限界か(笑)。音楽性の中味についてはモチーフやねらい所ってのがよくわからずにこれこそオリジナルっていうものでもないからやっぱりレベルの問題かな。アメリカのバンドってのもあって、その辺は難しい気がする。ルックス勝負で行くか?ん〜、ジャケットはどことなく神秘的で良かったんだが、自分的にはハズした…。あ、4曲目の「The Departure」ってのがちょっとミドルテンポなリズムで歌い上げていて、ゴシック的な雰囲気なので、この路線ならばよかったんだけどな…と。


■ The Agonist - Lullabies for the Dormant Mind

ララバイズ・フォー・ザ・ドーマント・マインド  2009年の新譜…っつうかここ最近リリースされたものだけでも山のようにあるので、どうすっか〜ってなことに変わりはないんだけど、新しいバンドを追うからそうなるのであって、往年の古き良きバンドばかりを聴いていれば別にそれほど忙しいワケではないのだが…(笑)。まぁ、それも飽きるので新しい世界を開拓しているんだけどね、いやぁ、ゴシックメタルの進化も凄くてさ。まだ何年かしかハマってないけど、その中もどんどん進化している。サウンドの進化ってのはこんなにも進むモノかって思うくらいに多数の国の多数のバンドが有象無象と出てきてトライしているのもこれまた愉し。もっともほとんどが残らないだろうってのを見越すことは簡単だが(笑)。

The Agonist - Lullabies for the Dormant Mind ララバイズ・フォー・ザ・ドーマント・マインド

The Agonist - Once Only Imagined Once Only Imagined

 The Agonist=ジ・アゴニストっつうカナダ出身のバンドあたりから進めよう。こないだ出した「ララバイズ・フォー・ザ・ドーマント・マインド」がセカンドアルバムだそうで、2007年リリースのファーストアルバム「Once Only Imagined」はまだ聴いていないけど、今回の「ララバイズ・フォー・ザ・ドーマント・マインド」はかなり進化したセカンドアルバムってことで評判がよろしいのとジャケット写真が何となく〜って気がしたので聴いてみました。

 「スリップノット+ゴシックメタル+お姫様の歌声」ってとこで、こんなのもカナダから出てくるのか、と驚くがカナダだけあって骨がある部分はアメリカとの違いを感じさせてくれるし、もちろんヨーロッパのバンドとも違う。それはわかるが、何せ凄い組み合わせだ…。メインボーカルはアリッサ嬢という紫色の長い髪でアニメのファンタジー世界から出てきたような格好で艶めかしく美しい歌声を聞かせてくれるので、メロメロって人も多いんだろうけど(笑)、なんせ音に驚く。ジャケットの神秘性に惹かれて美しくも激しい音世界かと思っていたら、超スピードメタルのデス系のノイズの中で歌姫が歌っているワケだよ。デス声も半分くらいを占めているので、なかなかキツイが、それよりもスラッシュメタル以上のスピードのメタルで、多分これ以上は速く出来ないだろうってくらいのもんだ。巧さはさすがなんだけど、聴いていると疲れる(笑)。やっぱり慣れてもこれはキツイ(笑)。

 そんなことなので楽曲の云々ってのは何とも言えないんだけど、まぁ、ドラマティックに頑張っているというよりはストレートなデスメタルに近いんだろうと…、3曲くらいで限界だったなぁ…、ちょっと趣味じゃなかった(笑)。


■ Operatika - The Calling

The Calling 新たなる領域への挑戦は常にジャケットのみに近い感じであれこれと聴いてみるのだが、まぁ、もちろんハズレもあれば当たりも出る。しかし北欧系のバンドはそれほどジャケットと中味の差がありすぎるっていうのは少なくて、割と音に忠実なジャケットだったりするので、アートワーク感がしっかりしているんだろうね。そういう意味ではヨーロッパってのはやはり芸術的で面白い。

 そういう目線でこの「The Calling」のジャケットを見て聴いたワケだが、ネットで簡単に聴けてしまう今の世の中、初めて見たらとりあえずダウンロードってのが多くてどんなバンドとか気にすることも実は後追いだったり…。聴いてみてネットで評論とか来歴とか覗いてみるっていうのが多い。っつうかほとんどそうだ。結局音楽だから聴かないとわかんないので…。んでYouTubeで一曲とか聴いてもね、ちょっとピンと来ないし、やっぱモノラルであの音質だと迫力も違うからどっちかっつうとルックスを見るためのものだね。ライブシーンとかさ。

 んで、このオペラティカっつうバンドの「The Calling」もなかなかそれらしいジャケットでしょ?なのでそういう意味で聴いてみたら、驚く音が出てくるんだもん。パワーメタルと呼ばれるような音らしいが、要するに異常なまでに速いドラムとギターでゴリゴリと迫ってくるメタルサウンドにソプラノな女性の歌がゆったりの乗っかるというもの。しかしベードラの速さは異常だな、こりゃ。ほぼ意味不明なくらい速い(笑)。んでもって凄いのが超速弾きギターが随所に出てきて、ここまでギターを弾きまくっているアルバムっつうのは久々に聴いたかも。イングヴェイとほぼ同じフレージングばかりが乱発されているので凄まじい。女性歌ものだからと言って期待してたら全然違うところで驚いた。いや、バンドそのものの音楽性ってのも別に悪くないんで、まぁ、楽しめるけど、まさかこんなギターに出会うとは。しかも、悪いが…このギタリスト、リズム感悪い(笑)。速弾き君にありがちなただ単に速く弾くだけなのでリズムを忘れてるんだよね。あと音が汚い。難しいんだけど、旋律と音色がマッチしてないんだもん。でもね、面白い。こういう解釈によるバンドの音ってのが面白い。

 そして何よりも後で驚いたのはこのオペラティカってバンド、アメリカのニュージャージー出身だそうだ。どこが?ってくらいに欧州をパクってて見事なモノだ。まぁ、ここまでグチャグチャにしてしまうセンスってのはアメリカらしいけど、メンバーの名前を見る限りはどうもニュージャージー在住のヨーロッパ人種の塊って感じなので多分まだ純正アメリカ人に成り切れていない欧州人によるバンドだと思いたい…  いやぁ〜、楽しめる。ここまでくるとコミックバンドに近いものを感じてしまうが、アルバム一枚を一気に聴く分には結構さらりとイケるのでよろしい。っつうか、自分がそんな気分なだけだろうか?(笑)



■ Eyes Set To Kill - The World Outside

The World Outside これだけ色々なメタルサウンドを聴きながらも未だにその細かいジャンル分けの定義を理解できていない自分…、まぁ、あまり気にしなくて良いのだろうが、ネットなどで見られる細部に渡るジャンル分けは大したものだとつくづく思う。ゴシックだ、いやシンフォニックだ、パワーメタルだクサメロだ、スクリーモだ…ときちんと分類して話されているんだもんな。驚くわ。まだまだ国内での嬢メタル系についての情報って多くは見当たらないので、余計に混乱するんだがな…。

Eyes Set to Kill - The World Outside The World Outside Eyes Set to Kill - Reach Reach

 2009年にリリースされたEyes Set To Killというアメリカのバンドの三枚目のアルバム「The World Outside」です。ジャケットが結構よろしいので興味深かったんだけどね、いや、そんなに期待を裏切らないアメリカな音です。セカンドアルバム「Reach」の時に発見して聴いてブログでも書いてるんだけど、その三枚目だから何となくの音は想像してたけど、やっぱり嬢ハードロックというような軽快ですらある作品に仕上げている。ネットとかで見るとスクリーモ系というメタルに区分けされているようで、ゴシック系ではないんだよな…。確かにゴシックな要素はまるでないワケだから単なる嬢メタルで良いのだろう。吠えてるオトコの声も邪魔だし…、ただそれで切り捨てるのはちょっと勿体ないくらいのレベルを維持しているのがアメリカ。さすがに売れるように出来ていて、軽快でちとクールな嬢ボイスに邪魔なオトコの吠える声、それでも楽曲は疾走感溢れるサウンド。うん、この深みの無さは紛れもなくアメリカの音だ。

 さて、「The World Outside」の一発目から聴いていて、これはもう聴きやすいし起伏に富んでいるし、三枚もリリースするだけのことはあるバンドの音です。実はセカンド「Reach」でボーカルが抜けてしまってギタリストが歌っているんだが、このお姉ちゃんもなかなか大したもので、今回は独自のボーカル路線を確立した感もある。キライじゃないね、こういうちょっと鼻にかかったような声でメロディじゃなくて結構一辺倒なラインを歌うってのはさ。ノー・ダウトのグウェンみたいなもんか。ここはもう好き嫌い分かれるだろうけど…、いいよ、結構。ジャケットも面白くてさ、見ていると昔のアナログレコードってこういうレコード盤の痕が付いたじゃない?あれの再現みたいでなんか懐かしい(笑)。

 褒め称える言葉は多いんだけどその分直ぐ忘れ去られるであろうサウンドでもあるから絶対良いよ、とオススメするほどではないです。まぁ、機会があればこういうバンドのアプローチってのも面白いよね、っていうくらいかな。



■ Eyes Set To Kill - Reach

Reach  さすがに自分の好みがわかってくると一気にかき集めたアルバム群が何となく魅力なくなって見えてくるから怖い(笑)。なんとなくネットで調べてみるとああ、そういう音だったのかなぁ…とか勝手に思ってしまうじゃん。なんとかっつうバンドと似てるので…とか書いてあると、あぁ、それ気に入らなかったバンドだったなぁ…ってことはこれもダメか?とかさ。で、どんどん聴く順番が後ろに回っていく(笑)。だが、それでもいつか順番は回ってくるものなのでしっかりと聴くのだが…、意外と良いじゃないか、と落ち込まずに済んだのがEdenbridge。

 Eyes Set To Killっつうバンドで、男女混合編成のアリゾナ州のバンドらしくって、この「Reach」が二枚目だとか。ファーストからは女性ボーカルが脱退してしまったらしく、今回はギタリストのお姉ちゃんが歌っていて、なかなかキュートでよろしい。

 しかし、面白い試みがいっぱいあるんだなぁ。ゴシックメタルの世界ではデス声と呼ばれていたものがアメリカに渡ると何故かスクリーモ(咆哮)と呼ばれていて、まぁ、同じくデス声なんだけど、キュートで可愛い歌声とその咆哮声が入り混じってトーンを作ると言う感じか。ヨーロッパではそれが美しさと野獣という対比を醸し出すんだけど、そういうのではなくって単に入り混じっている感じ。まぁ、邪魔っちゃぁ邪魔なんだけど、もっと明るい感じで叫んでいるのでいいか、って(笑)。

 それでいてこのバンド、どんなんかと言うとだ、やっぱりエラクハードでヘヴィな音の上に可愛く歌声が乗っかり、先ほどのスクリーモ声も思い切り全面に出ているのでツインボーカルに等しい。ただ、女の子の声が可愛らしいので曲のヘヴィさとは裏腹にかなり聴きやすいし、洗練されているのはアメリカならではのセンス。もちろん何回か聴いて飽きてしまう部分はあるけど、悪くないアルバムで、ヨーロッパの一連のゴシックメタル系とはかなり異なっていてアメリカのラウドロックに女性が進出してきたと言うような感じが強い音作りかね。



■ Fireflight - Unbreakable

Unbreakable  久々にタワレコに顔を出してみると相変わらずプッシュプッシュのバンドコーナーが展開されていて、情報満載♪ その一角を見ると何やらアメリカ出身のゴシックメタル風バンドがいくつか展示されていて、なんのことはないヨーロッパでは標準化?されたゴシックメタルというジャンルをエヴァネッセンスがアメリカに持ち込み、ラウド&女性歌モノってとこでヨーロッパのそれとは大きく異なる独特のジャンルを形成していったのだが、それに釣られていくつかのバンドが発掘されていて、その延長上で展開されていったバンドが新作をリリースしていったことでコーナー展開していたらしい。まぁ、中にはフィンランドのHIMとかもあったので一慨にゴシックとも言い切れないんだけどね。

 んで試聴してみるとなるほど、こういう風に進化したのか…とそれなりに感心して、更にその独自性には驚きすら覚えたが、ファイアーフライトというバンドのセカンドアルバム「Unbreakable」。ジャケットからしてどこか陰鬱…でもないけど、ちょっと気になる印象で、女性歌ものってことなので余計にね、気になって聴いてみるんだけど、いや、これがまたヨーロッパで聴かれるゴシックメタルの陰鬱で荘厳な、という世界とはかけ離れていて、そこがアメリカ、しかもこの人達フロリダ出身っていうから驚く。あの脳天気なフロリダからどうしてこんなのが出てくる?みたいな(笑)。

 そうだね、音的にはヘヴィーなギターをバックに可愛いお姉ちゃんが歌っているってことでエヴァネッセンス的ではあるけど、歌メロは完全にポップスだから非常に聴きやすい。ついでにファーストアルバム「The Healing of Harms」も聴いたんだけど、どちらも結構なクオリティを保っていて、聴かないと損、とは思わないけど聴いてみても面白いかな、というくらいの出来映えじゃないかな。突出してヒットに繋がるような曲がないから何とも云えないけど、まぁ、悪くない。伸び伸びと歌う歌声が心地良いし、ギターのヘヴィネスさも個人的には結構よろしいと思うし、曲自体もよく練られているし。それでもどこか不満が残るのは多分荘厳さが足りなくてどうしても大衆向けのサウンドになってるからかな。とは云え、今のジャンル分けには割と属しにくい音かもしれない。



■ Fireflight - For Those Who Wait

フォー・ゾーズ・フー・ウェイト 新作漁りってたまにするんだが、やっぱり刺激的で面白い。こんだけCDが売れなくなってきた世の中でもやっぱりショップでの散策ってのは一気に情報が入ってくるので止められませんな。昔に比べたら全然ショップに行く回数なんて減ってるけど、行くとそれなりにやっぱり楽しいからよい。普段気にしてるバンドとかは情報漁るけど、そんなに意識してないバンドとかの情報ってのはやっぱり一見して分かる方が速いもん。そんなことで、ふ〜ん、って思ったのがこちら。

Fireflight - For Those Who Wait For Those Who Wait Fireflight - Unbreakable Unbreakable

 ファイアフライトっつうアメリカのバンドの新作「フォー・ゾーズ・フー・ウェイト」。もともとゴシックメタル系と言うことで気になってファーストからセカンド「アンブレイカブル」って聴いてたんだけど、どうも違っていてさ、ゴシックメタルじゃないんだよ、これ。アメリカ産だからやっぱり無理があったのかもしれないけど、そう思って聴くとなるほど普通にハードロックバンドとして聴いてみると面白いじゃないか、と。

 「フォー・ゾーズ・フー・ウェイト」の音的には正統派なハードロックで割と疾走感と楽曲に起伏が豊富なので面白いのは面白い。そして歌はもちろん女性なのだが、結構太い声で歌っているのでなかなか逞しく聞こえます。ただ残念なのはコレと言った特徴が見つからない曲が多い、というのかバンドの傾向としてFIreflightらしさ、ってのはあるんだけど、それがバンドを決定付けるものかというとちょっと違う。言い直すと万遍なくレベルの高いそこそこの音が出せるのは良いが、特筆すべき曲がないってのが勿体ないってとこだ。

 それでももちろん色々な工夫はしているようだが…、歌が単調なのかバックが単調なのか、ギターソロとかで目立つ箇所が少ないのか…、歌がメインで綺麗に見せるっつうならわかるけどそうでもなくって…。まぁ、三枚もアルバム出せるんだからそれなりにセールスはあるのだろうが、コアなファンしか付かないんじゃないか?っつって全部聴いている自分もここにいるのだが(笑)。



■ Jack Off Jill - Clear Hearts Grey Flowers

Clear Hearts Grey Flowers  新世代のロックをたまに耳にするとそのサウンドの斬新さにはいつも驚かされる。楽器に対する取り組みもメロディや音の組み立てに至るアプローチなども従来型ではあまり考えられなかった、というよりも全く考えられなかった展開や組み合わせが出てくる。テクニックがそれについていってないケースもあるけど、そこはテクノロジーでカバー、アーティスティックに創造する力の方が優先する。ルックスにしても当然市場戦略のひとつでもあるけど、自分が好きだっていうのもあって目立つ格好をしているワケで、それが個性的に映る。まぁ、オールドタイムな世代からある話だけど常に驚かされるものだ。

 Jack Off Jillというバンドの2000年の作品「Clear Hearts Grey Flowers」にして最後の作品。以降Scarlingというバンドに移行してヴォーカルのジェシカ嬢の夢は続けられていくこととなる…。ま、なんだ、音的なものから入ると言うよりかはジャケットの奇抜さが面白そうだったってことなんだが(笑)、日本にもこういう絵ってあるよなぁ〜と。果たしてどんな音?って思ったんだけどさ。

 メランコリックなメロディでキッチュな感性に従ってやってみました的なサウンド。深みは全然ない(笑)。いや、それはフロリダ出身のバンドだからか?しかしその世界を完全に構築しているのは間違いないので結構聴きやすい音かな。別に特に突き刺さるようなハードな音でもないし、どちらかというと美しい傾向の曲が多い。そしてアルバムがなんとなくドラマ仕立てのように曲が並んでいるのもよろしい。一見ハードな音世界に映る曲もあるけど、それはそれで最先端の音として出てくる…、んな感じか。ま、メタルというジャンルになるのかなぁ、やっぱり。ジェシカ嬢の絶叫の世界も割と悲愴感あって雰囲気出ている。

 多分何回も聴かないけど、刺激的なサウンドとファッションを持ったバンドだってことで割と楽しめたのでよろしい。ちと調べてみるとナイン・インチ・ネイルズとかマリリン・マンソン関係での人気があったらしいってことで、まぁ、ゴシックという世界というか魔女的な音なのかね。楽曲レベルは結構しっかりしていると思う。  YouTube見ると…、下の映像だけど「ファイナル・ファンタジー」が使われているんだが、そういう関連性もあったのか?ゲームの世界はよくわからんけど、ま、この曲も結構面白いからいいや。



■ Collide - Chasing the Ghost

Chasing the Ghost  エキセントリックでダークなアンビエントを持つサウンドって言うとどうしてもヨーロッパを嗜好してしまうんだけど、ここ何年かではアメリカも相当病んだ影響からかそういったサウンドを持つバンドも出てきていた。まぁ、NINとかマリマンとかはどこかショウ的でもある部分があるけど、そうだなぁ、確かに90年代に入ってからは退廃的なアメリカっつうのが流行したワケで、映画「セブン」や「羊たちの沈黙」っつうのに象徴されるサイコもんも売れたしな。音楽映像の世界でもそうだったもんな。その頃に出てきたバンドって即座に消えていった感じするけど、実際的にはほとんど興味なかったのであんまり知らないんだよね。んで、最近あれこれ探してたり、似たようなモノ〜って紹介されるものの中にCollideっつうバンドがああった。

 2000年リリースの4枚目の作品「Chasing the Ghost」。パッと見たところアメリカって感じしないよね。しかもロサンゼルスっつうから不思議だ。ま、どんなもんかと試しにとばかりにアルバムを聴くのだが、どういうんだろうかね、これは。ドラムマシーンと鍵盤打ち込みによるエレクトリックな世界だけどいわゆるビートという感覚ではなくって確かにインダストリアルな、というか退廃的なゆっくりと淡々と刻み続けられるリズムをバックに妖しげな女性ボイスが宙を舞うと言った様式か。心地良くカラダをリズムに任せてユラユラと揺れて楽しむ、そんな音楽で昔で言えばデペッシュ・モード的なものが象徴なんだろう。別に聴かなくても人生損しない音ではあるが、こういう音楽もあるんだなぁと。美しさと言う面ではかなりのものだし、妖しげでもあるから悪くはない。ただし家で一人で聴くもんだな(笑)。

 なんつうのか、抑揚が全然ないのでホントに淡々と流して浸る音なんだが、ヨーロッパ的深みはないからやっぱり廃れていく、っつうか残していくにはかなりハードルが高くなるだろうと言うのがわかるもん。時代に合わせていればよかったんだろうけど、なかなかね。それでもCollideと言うバンドは今でも新作「Two Headed Monster」をリリースしていて、市場に受け入れられているという事実があると言うことは需要もまだまだあるんだろう。アメリカってのは不思議な一面があるねぇ。



■ In This Moment - Beautiful Tragedy

Beautiful Tragedy In This Momentというバンドの2007年リリース作品「Beautiful Tragedy」。こちらもジャケットの印象でそのまま試してしまった一枚で、どんなバンドなのかもロクに調べもせずに聴き始めたのでちと驚いた。今度は女性歌モノ叫び声系ですが…。っつっても普通に歌う曲もあったりするので全編ではないけどやっぱりバンドがヘヴィーで重い音なのでどうしたって叫びたくなるわな。それでもキャッチーなメロディを歌うというある種近年に見られる妙なミクスチュアー感覚のあるバンド。

 ん?これもカリフォルニア出身か…。どうにも最近はその辺の変わり種バンドに多く巡り会っているようでそれぞれ個性的っつうのも驚くことだが、確実に音楽シーンは進化しているな。ヨーロッパの方のバンドではやり切れていないアプローチを既にアメリカのこのヘンのシーンでは実践していたり、局部的にクローズアップしたりと進化のスピードはかなり早い。しかし本質的な部分を失いすぎていないか?と思うがそれは今に始まったことではない…。しかしここ最近はアメリカもヨーロッパも複合的に影響を受け合っているのか変わり者バンドも多いな…。

 しかしこのバンド…ちょっと自分にはうるさ過ぎて聴けない箇所が多い(笑)。楽曲は悪くないかもしれないけど、やっぱりなぁ、こういうのは好みではないんだなぁと実感。何でも聴いてみないとわからんけど、スクリーモ系はダメらしい。でもジャケット、割とよろしいよね。



■ Otep - The Ascension

The Ascension ここのところの女性歌モノ系で結構面白いと言うか、個性的なモノに巡り会えていたので欲を出してちょっと派手なものないかなとアマゾンで思うがままに進められるものをチョロチョロと手を出してみる…。ネットがこんだけ普及していてもなかなかそのバンドの実態とかわかんなかったりするんだよな。だから失敗することも大いにあるのだが…。

 Otep(オーテップ)の三枚目「The Ascension」2007年リリース作品。いや…、ジャケットがさ、こう…、真摯に見つめられるものだからちょっとゴシックとかとは違う路線だな…と思いつつもシュールさとロゴの機械的な部分から面白そうかな、とね。ネットでの評判を見るとどうもデス声のできる女性ボーカリスト、オーテップ嬢らしい。ん?デス声?それってもしかしてArch Enemyみたいなもんか?とちと不安になったが…。

 一曲ごとに書いていけないからサクっと書くけど、アルバム冒頭からメランコリックな呟きで始まるので、何やらこのまま荘厳な世界が繰り広げられるのかなと思いきや、一気に女性版Slipknotと言われるだけあってもの凄いスピードメタルでデス声で迫ってくるメタルサウンドで驚いた。次ももう叫びまくっててうわぁ〜タマらんなぁ〜って思ってたんだけどさ。いや、慣れてくるんだけど何曲も聴きたくないから…。と思ったら三曲目はもの凄く普通に可愛らしくしっとりと歌声を聴かせてくれて、それはもう普通以上にしっとりとしてて愛らしいものだ。こういう起伏ってのはある意味ワザだな。そして四曲目ではラップ調のリズムに乗せて普通に歌っているのと所々叫ぶっつう面白い展開。なのである種のジャンルを横断して歌っているバンドっていう意味で幅を広げているかな。5曲目は途中まで普通にしっとり、途中からうわぁ〜、デス〜だけど(笑)。

 …まぁ、そんな感じでジェットコースターに乗っているかのようなサウンドの…と言うか歌声の変化が楽しめて悪くはなかったか。楽曲レベルは割と高いんじゃない?ちとそこまでまだ分析出来るほど慣れてないからアレだけど、クリーンに普通に歌っている曲は前後の起伏もあるけど、良いな、と思える曲だもん。しかし彼等もロサンゼルス出身のバンドなんだ…。アメリカは広い…っつうか何でオススメCDってアメリカばっかなんだ?



■ Hydria - Mirror of Tears

Mirror of Tears あ〜あ…、この辺のゴシックメタルの世界に流れ込むとホントにワールドワイドになってしまってきて、世界中の国々の新進バンドがこういう音に取り組んでいてさ、それぞれから世界レベルに飛び出してくるのがあるワケですよ。そういうのってある意味凄いと思うんだけど、追いかける方もなかなか大変です(笑)。昔では考えられないくらいにワールドワイドにバンドが進出できる環境ってのも凄いし、しっかりと世界レベルの演奏や歌が実現できているってのもやはり凄い。

 ってなことで、珍しい国からのゴシックメタル(?)バンドの出現です…、ブラジル(笑)。いや、ブラジルってこういう文化もあったのかと驚いたんだけど、メタルの世界では割といくつも出てきていて、たまたまゴシックの世界ではなかったそうな。しかしブラジルか…、どうしても民族音楽的なのが頭の中にイメージされてしまうが、そこは日本と同じく演歌だけじゃないってところだ。

 そんなブラジルから出てきたHydriaというバンドのデビューアルバムにしてかなりの傑作「Mirror of Tears」です。2008年暮れにリリースされていて、アマゾンにもあるというのが驚き。そして何よりも聴いてみてさらに驚いた。どこのバンドだと思うくらいにハイレベルな音を出していて…、まぁ、ゴシックメタルというようなサウンドではないので、誇大宣伝だろうとは思うが(笑)。お嬢様が歌を歌っているのでゴシックメタルと言われるようだが、そうだな、かなりのパワーメタル的な音を出していて、どっちかっつうとギター中心のメタルサウンドにそれはもう華麗なる女性の歌声が乗っているというところです。リフとかも面白いし、結構引っ掛かるフレーズもあるので、センスは相当良いはず。んで調べてみると、歌も女性だが、ギター弾いてるのも女性ってことでまたまた驚いた。凄いバンドかもしれん…。  ジャケットもメタルとゴシックの間を行くような感じで微妙だけど、女性ボーカルファンなメタル

好きなら十分に満足するし、楽曲的にもかなり凝った展開を見せたりコーラスを聴かせたりするので、面白い。何作も持つかどうかっつうのがちょっと不安だけど、まずはデビューアルバムにしては相当ハイレベルな「Mirror of Tears」という作品です。  音楽の裾野はもの凄く広がっているなぁと



■ The Birthday Massacre - Walking with Strangers

Walking with Strangers  音楽の裾野はもの凄く広がっているなぁと実感する。今時のバンドって何でまたそんなに応用力というか発展性というか独自性を持ち合わせているのか…、別に今までなかったワケじゃないけど妙に新しく作り直されていて新鮮だったりする。もちろんそれがアルバム何枚も作って変化し続けるものなのか、留まり続けて売れるために音楽をやり続けるのはわからないけど、少なくとも発展性を持ったバンドは多い。

 The Birthday Massacreっつうバンド名でそれだけでもインパクトあるんだけど、彼等の三枚目のフルアルバム「Walking with Strangers」が2007年にリリース。もちろんここに辿り着くまでに紆余曲折あったことは過去のアルバムを聴いてみればわかるんだけど、さすがに脂が乗ってきたのか非常に洗練されたアルバムサウンドでシーンに投入。音的にはねぇ、基本ハードロック/ヘヴィーメタルサウンドなんだが、鍵盤が巧く入り込んでいてデジタルテクノっぽい印象を与えてくれている。ドラムも一時期のドラムマシーンのような音色で録音されているのでどこか機械的なサウンド。そこに女性ボーカルが被ってくるんだけど、これは普通に何の個性もない歌声ってのが収まりが良くなっている。歌メロは割とポップなのでメタルサウンドがバックに流れていることを忘れるくらいの軽さがあるのはミックスの面白さかな、へぇ〜っていう感じ。どこかのヒットチャートに顔を出してもおかしくない曲もあるもんね。

 バンドイメージがこの紫色なのかな。過去三作とも同じ色使いで統一性を持たせている。うさぎの影絵ってのもイメージなんだろう、きっと。なかなか可愛らしいけど、どこかダブルミーニング的に見えてしまうのは自分だけ?いやぁ、普通じゃ面白くないしね。しかしまぁ、キャッチーなアルバム、っつうかバンド、なんだな。やっぱり聴いてみないとわかんない世界だが、かなり良質の作品だってことは明言できる。カナダのメルヘンバンド、と言われているらしいけど、確かにメルヘンチックで微笑ましい作品。